■ただ静かに穏やかに…「嫌な目にあわさず育ててきた」
ーーお客さんがお食事している様子を見守るセントバーナードの写真にたくさんの反響がありました。寄せられた声について、いかがですか?
「たくさんの方々から行儀がいいことを褒めてもらえて嬉しいのですが、実は、特別なトレーニングをしているわけではなく、私が日頃からデイジーやドーンに対して犬用オヤツなどの間食を全く与えないようにしているために、お客さんからも何か食べ物をもらえるとは思っていないだけのようです。
『食欲と戦って我慢している』のではなく、お客さんが何やら美味しそうに食べている様子が気になるのでジッとただ観察しているだけのようです」
ーーデイジーちゃんやドーンくんは、なぜドックカフェのお客様の前に出ても、物怖じせず癒しを与えられるのでしょうか?子犬の頃からのしつけや接し方で思うところがあればお聞かせください。
「僕は『犬というのは仔犬の頃から嫌な目にずっとあわせずに育て続ければ、曲がらずに真っ直ぐに良い性格の犬になるもの』という自論を持っていまして、小さな頃から可能な限り、嫌な目にあわさないように努力してきました」
ーー嫌な目にあわせないために、どのような行動をされたのでしょうか?
「たとえば、家の中でトイレの失敗をしても、家具をかじってボロボロにしても、甘噛みをしても決して厳しく叱ることをしませんでした。また、犬に不要な芸を教え込むこともせず、ただただ静かに穏やかに、仔犬の頃は顔を擦り寄せ抱きかかえ、大人になってからは背後から抱きついて、たっぷりと溺愛して育てました」
ーーたっぷり愛を注いだからこそなんですね。
「はい、仔犬の頃に他の犬と会わせる際にも決して『みんなと仲良くさせよう』とか『ちょっとぐらい怖がっていても頑張らせて慣れさせよう』とか、そういった飼い主の理想を押し付けるような無理強いはしない。相性が合うほんの数頭の犬とだけ仲良くできれば、それで充分だと考えるようにしていました。
また、これは特に重要だと考えていることなのですが、古来の躾の常識である、犬が何か問題行動を起こした後に「イケナイ」と言って素早く上手に叱るということをやりたくなかったので、可能な限り叱らずに済むように、飼い主である私の方が常に先手を打って、犬が問題行動を起こさないように予め回避する努力もしていました」