鼻紋とは動物の“鼻のシワ”のこと。人間の指紋のようにすべての個体で異なる(写真はイメージ)
環境省のデータによると、2020年4月1日~2021年3月31日の1年間だけで、日本における犬猫の殺処分が2万3764匹となり、毎日65匹もの犬・猫が殺処分されていることになる。殺処分される猫のうち、半数以上が幼齢個体であり、成猫にならず殺処分されている。人間と動物が共存するため、コロナ禍でペット市場が成長し続けるうえでも、動物の殺処分ゼロは重要な課題といえる。
【画像】「鼻紋ってどんなの?」1頭ごとに全然違う! 撮影に苦労する飼い主も…鼻紋登録方法
■義務化されたチップ装着への不安を払拭すべく、個体差ある「鼻紋」に注目
今年6月、動物愛護管理法の改正に伴い、ペットショップなどで販売される犬や猫にマイクロチップの装着や所有者情報の登録等が義務化された。ペットの迷子対策のために、どう普及させていくかが今後のカギとなっている。動物に苦痛を与えるものではないとはいえ、皮膚に注射器で皮膚下に入れるマイクロチップ装着を不安視する飼い主も少なくない。そんな中、今注目されている技術が「鼻紋認証」だ。
日本初の「鼻紋認証」機能を実装したペット総合アプリ『Pet』。その開発・運営する株式会社NGAのアレックス・ワンCEOは「ペットを飼っている人も飼っていない人も、人と動物が幸せに暮らせる社会を願うすべての人に知ってほしい」と話す。
昨年11月にリリースした『Pet』は、ペットにまつわる生活情報や里親情報、コミュニティ機能など、ペットと暮らす人に必要な情報が網羅されており、そのすべてが無料で利用ができる。充実の内容がうれしい同アプリだが、アレックスCEOはペットを飼っていないという。
「動物が大好きで子どもの頃は犬、猫、ウサギ、たくさんのペットを飼っていました。ところが大人になってからアレルギーになってしまったんです。それでも動物の幸せのために何かしたい。飼いたくても飼えない人も楽しめるサービスがあったら…そう思って開発したのがこのアプリです」(アレックスCEO/以下同)
同氏は続けて「『Pet』が目指すのは動物の“殺処分ゼロの実現”です」と話す。この目標に向けてアレックス氏が着目したのが動物の「鼻紋」だ。鼻紋とは動物の鼻の溝のことで、人間の指紋と同じようにすべての個体で異なる。また生まれてから亡くなるまで模様が変わることがないため、畜産業界では古くから牛の個体識別や証明のために活用されてきた。
同アプリに搭載された「鼻紋認証機能」は、この鼻紋の特性を活用して犬や猫の個体識別ができるように開発されたもので、特許も取得している。
「殺処分となるのは飼い主がいない動物だけでなく、飼い主さんとはぐれてしまった子も対象です。つまり迷子になっても、いち早く飼い主さんと再会できれば殺処分は減らせるんです。飼い主さんにはぜひ『Pet』にペットの鼻紋の登録をお願いしたいと思っています」