ベトナムのクックフォン国立公園にあるセンザンコウ保護センターで撮影されたマレーセンザンコウ。(PHOTOGRAPH BY JOEL SARTORE, NATIONAL GEOGRAPHIC PHOTO ARK)
マレーセンザンコウは深刻な絶滅の危機に直面している。アジアとアフリカに生息するほかのセンザンコウ種と同様に、肉やうろこを目当てにした密猟が原因だ。センザンコウのうろこは、薬効を示す証拠はないにもかかわらず、中国で伝統薬の原料に使われてきた。センザンコウ全8種をひっくるめて「世界で最も密売されている哺乳類」とも呼ばれている。
ギャラリー:希少な哺乳類センザンコウの愛らしい姿 写真12点
人間の爪と同じくケラチンでできた厚いうろこが、センザンコウの体の大部分を覆っており、ヒョウなどの捕食者から身を守るのに役立つ。危険を感じるとアルマジロのように丸くなって、硬いうろこがなく傷つきやすい腹部を隠す。しかしこの防御姿勢のために、かえって人間に捕まりやすいという結果を招いている。
食性と分布
うろこ以外で最も目立つ特徴は、長い口吻と舌だ。アリクイと同じように、センザンコウも前肢の頑丈な爪でアリ塚を掘り返し、鼻を突っ込んで、非常に長い舌でシロアリやアリを舐めとって食べる。
マレーセンザンコウはアジアで最も広く分布しているセンザンコウで、東南アジアの各地に生息している。ミミセンザンコウなどアジアにいるほかの種と比べると、背中のうろこの列が少なく、尾が長く、前肢の爪が短い。巻き付けるのに適したこの尾を使って木に登り、アリの巣を襲うことも多い。昼間は木の空洞や穴で眠る。
ほかのセンザンコウ種と同様に、マレーセンザンコウのメスも通常1回に1匹の子を産む。
National Geographic